福岡県福津市で2011年5月、建設会社社員の男性宅に銃弾が撃ち込まれた事件に関与したとして銃刀法違反や建造物損壊などの罪に問われた特定危険指定暴力団「工藤会」系元組長の内蔵成(くらなり)喜八被告(57)に対し、福岡地裁小倉支部は13日、無罪(求刑・懲役12年)を言い渡した。
検察側は、被告が工藤会の指示を受けて実行役の2人(いずれも1審・同支部で実刑判決)に襲撃を指示したなどとして共謀が成立すると主張したが、渡部五郎裁判長は「被告が犯行の最高決定権者であったと合理的な疑いを差し込まない程度に立証できたとは言えない」と退けた。
公判で被告は無罪を主張。検察側は被告の関与を認めた組幹部(故人)の供述調書を証拠請求したが、同支部は「誘導が行われた疑いがある」などとして却下していた。
判決は、組幹部は誘導質問に乗って返答したにすぎず、調書の内容についても注意が行き届かないまま組幹部が署名指印をした可能性は否定できないと判断。被告が関与したとする実行役の証言も「供述に変遷がみられ、捜査の初期段階と公判後の供述が虚偽である疑いを払拭(ふっしょく)できない」と指摘した。
判決を受け、福岡地検小倉支部の岡本貴幸支部長は「判決内容を精査し、適切に対応する」とのコメントを出した。