捨てるはずだった魚を使って、高校生が新たなドレッシングを作り、販売されることになった。珍しい商品開発には、ある問題の解決に向けた思いが込められていた。
三重県立相可高調理クラブが開発したのは「鰺(あじ)わいドレッシング」。志摩市の安乗(あのり)漁港で水揚げされながら、不ぞろいな大きさなどが原因で活用できないアジを粉末にし、県産の黒ニンニクを加えて仕上げた。海のうまみと爽やかな酸味を味わえ、宇井真優さん(2年)は「黒ニンニクの甘みがうまく交わって、他のドレッシングでは食べたことのない味わいに仕上がった」と自信を見せた。
食物調理科がある相可高は生徒が調理、接客を実習する場として2002年からレストラン「まごの店」を運営し、「高校生レストラン」としてドラマ化されたこともあった。県内で消費者に届けられない「未利用魚」の活用が課題とされていることを知り、調理クラブ顧問の西岡宏起教諭は「地域課題などについて、食を通じて何ができるか。これから料理人を目指す人に考えるきっかけを持ってほしかった」と20年7月から県出身で東京都内で割烹(かっぽう)を営む田中佑樹さんの協力を得て共同プロジェクト「サステナブルキッチンまごの店」として活用方法の模索を始めた。
未利用魚の中から手がけたのはアジだった。「生の状態だと扱いにくい」(西岡教諭)など試行錯誤する中、粉末状にすることで使い道の可能性が広がり、ドレッシングの開発につながった。
山口颯太さん(3年)は「このプロジェクトに参加するまでは、未利用魚の問題を知らなかった。将来は機内食のレシピ開発に携わりたいと思っている。そういう(別の)分野でも未利用魚を活用できるような料理人になりたい」と語った。
「鰺わいドレッシング」は来年1月15日から県内のスーパーなどで1本190ミリリットル、約500円で発売される。【原諒馬】