支払い能力を超える売掛金(ツケ)を女性客に背負わせる悪質なホストクラブへの対策を議論してきた警察庁の有識者検討会(座長=山田洋・一橋大名誉教授)は19日、売掛金の悪質な取り立てなどを規制対象に加えるよう提言した報告書を公表した。警察庁は報告書に沿って、風営法の改正案を来年1月召集の通常国会に提出する方針。
報告書は、悪質なホストクラブの経営側に対する罰則強化や処分逃れの「穴」を封じる対策も提言した。
現行の風営法で最も重い罰則は無許可営業などで、罰金の場合、法人とホスト個人への上限はそれぞれ200万円にとどまる。この金額は1日の売り上げ以下の店もあり、抑止効果が不十分なため、報告書は罰則強化の必要性を指摘した。
また、行政処分の手続きの途中で風俗営業の許可証を返納して処分を逃れ、新規の許可申請をするケースや、グループの傘下店が許可の取り消しを受けても他のグループ店で営業を続ける例がある。
報告書はこうした場合は、営業の資格を欠くとして営業を継続できなくすることなどを求めた。暴力団が経営を実質的に支配する場合も排除すべきだとした。
警察庁は法人への罰金を大幅に引き上げる方向で検討する。【山崎征克】
東京・歌舞伎町で女性支援に携わるNPO法人「レスキュー・ハブ」の坂本新代表
報告書は、想像していたより踏み込んだ内容だ。現状は売掛金を続ける店がまだあるほか、売掛金と言わずにホストが個人的に立て替える「立て替え払い」や、事前に料金を用意させる「前入金(まえにゅうきん)」と呼ぶ手段も横行している。報告書は、名称でなく、行為そのものを規制すると提言しており、抑止効果があるのではないか。
法案にする際には、ホストらのどういった行為が規制されるのか、できるだけ具体的に、漏れのないような条文にしてほしい。業界ではホストは個人事業主という認識があるので、ホスト個人の問題というトカゲのしっぽ切りにならないよう、罰金の高額化など経営側も責任が問われる仕組みにすることが大切だ。