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急転直下の逮捕、決め手は防犯カメラ「リレー捜査」 中学生2人殺傷

毎日新聞 2024年12月19日 20時30分

 北九州市小倉南区のファストフード店で14日夜、中学3年の男女2人が刃物のようなもので殺傷された事件で、福岡県警は19日、現場から約1キロ離れた同区長尾2に住む無職、平原(ひらばる)政徳容疑者(43)を男子生徒(15)に対する殺人未遂容疑で逮捕した。

 事件発生から5日となった19日、北九州市小倉南区の住宅に県警の捜査員が突入した。逮捕の決め手となったのは、防犯カメラやドライブレコーダーの映像をつなぐ「リレー捜査」だった。凶器を所持して逃走したとされる容疑者の確保には、人質事件などを専門とする捜査員らを投入し、急転直下の逮捕につなげた。

 中学生の男女2人が刺されたのは北九州市小倉南区徳力(とくりき)1の「マクドナルド322徳力店」だった。捜査関係者によると、現場から逃走した40歳ぐらいの男性が店内にいたのはわずか十数秒で、刺した瞬間を目撃した人もいなかった。

 手がかりとなる遺留物も限られる中、県警は現場周辺の防犯カメラ約100台から映像を収集。近隣住民らから提供されたドライブレコーダーの映像も解析し、事件発生約15分前に黒のワンボックス車が店舗南側の駐車場に入ってくる様子を確認した。運転手はしばらく車内にとどまった後、事件発生時刻ごろに車外に出た。直後に戻ってきて車で現場を離れていた。

 県警は、車が向かった先の防犯カメラ映像も集めて追跡し、現場近くに住む平原政徳容疑者(43)にたどりついた。平原容疑者は、店から逃走した男性と服装などの特徴が似ていたという。県警は逮捕2日前の17日から監視を続けた。

 19日朝、小倉南区長尾にある2階建て住宅の周囲に、立てこもり事件などに対応する県警捜査1課特殊事件係の捜査員ら約20人が集結した。外から捜査員が声をかけたが、反応はなかった。その後、防刃ベストを着用するなどした捜査員らは1階東側の窓ガラスを割るなどして突入。自宅裏の勝手口からも捜査員が入り、挟み撃ちをする形で逃げ道をふさぎ、平原容疑者を確保した。その際、身長約180センチで大柄な体格の平原容疑者は居間で椅子に座っており、抵抗することはなかったという。

 県警の橋本浩輔捜査1課長は逮捕後の記者会見で「犯人に結び付いたのは防犯カメラだった。なぜいきなり襲ったのか、取り調べで明らかにしたい」と話した。【河慧琳、井土映美】

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