来年度から実施予定の栃木県ツキノワグマ管理計画(5期)案が19日、県議会農林環境委員会に示された。
今年4月、環境省がクマ類を指定管理鳥獣に指定したことや、県内のクマの生息数が増えていることを踏まえた。人身被害の未然防止を強く打ち出したのが特徴で、市町や関係機関の意見を踏まえ、来年3月に策定する。
今年の推定生息数は961頭(中央値)で、5年前の2019年調査の606頭から約1・6倍に増加した。
近年、里山などの緩衝地帯が減り、クマと人の生活圏が接近。今年11月までのクマの目撃件数は248件で過去10年で最多となったほか、スギ、ヒノキなど林業被害も増加傾向にあり、対策の強化が求められてきた。
地域の個体群の適切な管理と捕獲、環境整備の強化が対策の柱。狩猟者への捕獲自粛要請基準を90頭から145頭(生息数の15%)に引き上げるほか、クマがイノシシなどのわなに間違ってかかった場合、これまでは基本的に「保護」の観点から放獣していたのを、一定の条件を満たせば捕獲を認める。
指定管理鳥獣となったことで、国の交付金を活用し、捕獲や強固なゴミステーションの設置、放任果樹の除去などを進める。また人の生活圏にクマが出没するのに備え地域ぐるみで対応訓練なども実施する。
計画期間は25年度から29年度までの5年間。計画区域はクマが生息する県内9市町となっている。【有田浩子】