文部科学省が20日に公表した公立学校の人事行政状況調査によると、2023年度に性犯罪・性暴力やセクハラで処分された公立学校の教員は前年度比79人増の320人だった。初めて300人を超え、過去最多となった。
国と自治体に被害防止研修の実施を求めた「教員による児童生徒性暴力防止法」が22年4月に施行されたが、十分な抑止効果が発揮されていない。文科省は「あってはいけないことであり、極めて重く受け止めている。防止に向けた取り組みを徹底するよう強く指導しないといけない」と危機感を強めている。
320人のうち、児童生徒ら子どもに被害を与えたとして懲戒処分を受けたのは157人。前年度から38人増えた。
320人を年代別に見ると、20代が105人と全体の3割超を占めた。被害を受けたのは所属校の児童生徒らが54・1%と最も多く、次いで所属校の同僚15・9%、他校の児童生徒ら8・8%など。
教員による児童生徒性暴力防止法は、児童生徒らへの性犯罪などによる処分歴のある人物の復職を制限している。ただ、23年度に処分を受けた320人のうち過去に処分歴があったのは5人だった。
ネット交流サービス(SNS)での児童生徒への私的な連絡を禁止する指針策定や、加害防止研修といった取り組みは各地で進められているが、処分の増加は防げなかった。
教員の性犯罪を巡っては、子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴を雇用主側が確認する「日本版DBS」が26年度に始まる見通しになっている。
懲戒処分・訓告などを受けた教員は4829人で、前年度から257人増加。交通違反・事故による処分が最も多かった。体罰による処分は前年度比54人減の343人。一方、不適切指導による処分は91人増の509人で過去最多となった。【斎藤文太郎】