スポーツ庁は20日、小中学生を対象にした2024年度の「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(全国体力テスト)の結果を公表した。50メートル走や握力など8種目を点数化した体力合計点は、中学男子で新型コロナウイルス感染拡大前の水準まで回復したものの、小学男女、中学女子で伸び悩んだ。一方で、肥満の子どもの割合や睡眠時間は改善傾向がみられた。
調査は4~7月、国公私立の小学5年と中学2年の男女約185万人を対象に8種目の実技テストを実施。運動習慣や生活習慣についての質問もあった。
体力合計点(80点満点)は、小5男子52・5点(前年度52・6点)▽小5女子53・9点(同54・3点)▽中2男子41・7点(同41・2点)▽中2女子47・2点(同47・1点)。中2男子は前年度から上昇したものの、小5男子と中2女子でほぼ横ばい、小5女子では低下した。
23年5月に新型コロナの感染症法上の扱いが「5類」に引き下げられ、前年度の調査では、小中男女とも新型コロナによる体力低下に一定の歯止めがかかった形だった。
調査の分析に関わる中京大スポーツ科学部の中野貴博教授は、24年度の調査結果について「中学校と比べて小学校のほうがあまり改善がみられない傾向にある。(調査の対象となった)小学5年はさまざまな生活習慣を確立する時期に新型コロナの影響を受けた世代で、その影響は中学生よりも大きく、しかも残っている可能性がある」との認識を示した。
一方で、コロナ禍で不規則になった子どもの生活習慣については、引き続き改善の傾向がみられた。肥満の子どもの割合は全ての対象で2年連続で低下した。最も多い小5男子は13・3%(前年度13・7%)、最も少ない中2女子で6・8%(同7・0%)だった。朝食を「毎日食べる」子どもや睡眠時間が「8時間以上」の子どもの割合も前年度から増加した。
ただ、平日に学習以外でスマートフォンやテレビなどに触れる「スクリーンタイム」が「3時間以上」と答えた子どもの割合は前年度より増加した。最も多いのは中2男子で49・3%(前年度47・3%)に上昇。中2女子も48・4%(同46・0%)だった。担当者は「スクリーンタイムは今後も増えこそすれ、減ることはないだろう。向き合っていくしかない」と話した。【井川加菜美】