神戸市立小学校で2005~06年、当時5年生だった男性(30)が同級生から金銭を脅し取られるなどのいじめを受けた問題で、市教育委員会は20日、当時の担任だった市立小教諭の50代男性を同日付で口頭厳重注意処分にしたと発表した。
市教委は処分理由で「いじめが疑われる状況で一定の指導はしたが、丁寧な聞き取りや保護者への情報共有を十分に行わず、いじめの実態に気が付かなかった」とした。男性教諭は「児童や保護者に多大な心労をかけ、望まれるような解決に至っていないことを申し訳なく思う」と話したという。
第三者による調査委員会がまとめた報告書などによると、男性は複数の同級生から嫌がらせや暴行を受け、現金50万円超を脅し取られた。学校や市教委が組織防衛を優先し、いじめの隠蔽(いんぺい)行為があったとした。
市教委は「対応は不適切だったが、隠蔽の意図は認定できず懲戒処分にはできない」と説明。既に退職した当時の校長や教育長、担当課長の計5人は文書訓戒や口頭訓戒などに相当するとの見解を示した。
被害者の父親(61)は取材に「いじめの隠蔽を容認するような処分で憤りを感じる。隠蔽が繰り返される懸念があり、市教委は事案に真摯(しんし)に向き合ってほしい」と語った。【大野航太郎】