米軍横田基地(東京都福生市など)から発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)を含む汚染水が流出した可能性があるとして、防衛省と東京都、周辺の6市町などが20日、同基地への立ち入りを実施した。流出元とされる「消火訓練エリア」周辺で米軍から約1時間、説明を受けた。内容については今後、日米両国間で調整したうえで公表されるという。
中谷元・防衛相は閣議後の記者会見で「地元の皆様が不安や懸念を抱いていることを念頭に、立ち入りを実現することで(米側と)一致した」と説明。今後の対応は「立ち入りの結果を踏まえて関係自治体と相談する」と述べた。
防衛省によると、米軍から10月、消火訓練エリアの貯水池などから汚染水約4万7700リットルが8月の豪雨であふれ、排水溝を通じて基地外に流れ出た可能性が高いとの連絡があった。
都などが基地周辺の水質を調べたところ、PFASのうち代表的なPFOSとPFOAの含有量は国の暫定目標値(1リットル当たり50ナノグラム)を下回った。一方、都と福生市、立川市など6市町でつくる連絡協議会は11月、米側から直接説明を受けられるよう防衛省に求めていた。
米側は今後、貯水池の水質調査を実施し、日本側もこれに合わせ、日米地位協定の「環境補足協定」に基づく調査を行う方向で協議している。同協定に基づく調査はこれまでに普天間基地(沖縄県)など4カ所で行われた。
東京都の小池百合子知事はこの日の定例記者会見で、立ち入りについて「国、都、周辺自治体の要請が連携を取って行われたということを示している」と述べた。福生市は「後日、改めて説明を受けた段階で今後の対応を考える」としている。【松浦吉剛、矢野純一、中村紬葵、山下俊輔】