別府温泉を舞台にした短編映画の第8弾が、全日本プロレスの元3冠ヘビー級王座、安齊勇馬ら3選手を主演に「怪獣映画」として製作されることが決まった。監督は第2弾の短編「大怪獣ブゴン」でメガホンを取った田口清隆氏。前作で有名ホテルの爆破シーンを撮影した田口監督は、大分県別府市内での記者会見で「(今作は)前作の世界観とつながっている。(市内のどこかを)爆破する」と明かし、不敵に笑った。
タイトルはまだ決まっておらず、全日で「斉藤ブラザーズ」として活躍する双子レスラー、斉藤ジュン、レイの両選手も主演を務める。元力士の斉藤ブラザーズは、190センチを超える身長など圧倒的な体格を生かした闘いぶりに加え、端正なルックスで写真集が発売されるほど人気がある。
田口監督の構想によると、別府の街に繰り出した選手らが別府タワーを見上げると、巨大な隕石(いんせき)が降ってきて斉藤ブラザーズに奇妙な物体が寄生。翌日に突如凶暴化して暴れ始め、ストーリーが展開していくという。見どころについては「斉藤ブラザーズが大暴れすること」(田口監督)と語った。
製作のきっかけは、製作を統括する実行委員会に全日選手の出演に関する打診があったこと。田口監督は実行委から依頼を受け、昨年8月に試合を観戦し、製作を決めたという。
撮影は12月中旬から始まったが、3選手の映画出演は初めて。ジュン選手は「ガチガチに緊張した。5分、10分たって体がほぐれてきた」と振り返り、レイ選手は「リングは体をぶつけ合う戦いの場。お芝居も勝負の世界だと感じた」と話した。安齊選手は「演じながら自分がやっていることが正しいのか、間違っているのか、探り探りのスタートだった」と語った。
田口監督は「撮影前は『どうなるだろう』と思っていたが、撮影を1日やって『これはいけるぞ、きっと面白くなる』」と手応えを感じたという。共演俳優の青柳尊哉さんも3選手の演技を「迫力がすごい」と称賛した。撮影は2025年6月ごろまで続き、公開は年末以降になる予定。
短編映画製作は、市内で70年以上続く映画館、別府ブルーバード劇場の岡村照館長(93)を励まそうと有志が企画したプロジェクト。共同温泉での入浴シーンが必須で上映時間は30分程度などの条件があり、これまでに4作品が公開された。【石井尚】