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「災害用トイレ」準備している人、約2割にとどまる NPO調査

毎日新聞 2024年12月22日 13時0分

 2024年1月1日に発生した能登半島地震では、断水や道路の寸断により多くの被災者がトイレを利用できなくなる事態に見舞われた。しかし、水が無くても使える袋式の携帯トイレなどの「災害用トイレ」を準備している人は約2割にとどまることが、NPO法人「日本トイレ研究所」のアンケート調査で明らかになった。

 調査は10月15~17日にオンラインで実施し、20~69歳の1113人から回答を得た。

 自宅に備えている防災用品を尋ねたところ、災害用トイレを備えている人は21・1%だった。飲料水(58・5%)▽懐中電灯・ランタン(57・2%)▽食料品(46・0%)などよりも低かった。

 大きな災害が起きた際に実際にとる行動としても、「災害用トイレの準備」はわずか10・7%。「自身の安全確保」「水や食料の準備」などの全11項目中、3番目に低かった。

 大地震で自宅のトイレが使えなくなった際にどうするかを聞いたところ、「避難所のトイレを利用する」が最多の24・6%、次いで「備蓄している災害用トイレを利用する」が17・9%、「公園や公衆トイレを利用する」が16・5%――と続いた。

 日本トイレ研究所の加藤篤代表理事は「近年は在宅避難を推進する動きがあるが、避難所や公園などのトイレも使用不能になることが考えられます。避難所も避難者以外が利用することを想定してトイレの運営方法を確立しておかなければトイレパニックになります」と警告する。

 能登半島地震では既存の便器に袋をつける携帯トイレなどをうまく使用できず、汚物が漏れるなど不衛生な状態になる事例があったといい、学校や企業、医療機関などで実際に災害用トイレを使用する訓練が必要と指摘する。

 加藤代表理事は「飲食と比べ、排せつは他者に見せない行為で話題にも上がりにくいため、備えについて思いが至らないと考えています。災害時のトイレは命と尊厳に関わり、すべての人に必要な備え。対応方法を身につけておくことが必要です」と訴えている。【宮城裕也】

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