屋内にいても、低体温症にご注意を――。福島県の郡山地方広域消防組合が、過去10年間の救急搬送統計を基に警告を発している。新陳代謝機能が衰え始めた高齢者は特に注意が必要だといい、暖房器具の適切な使用を促す。
体が冷えて体温が低下し、正常な機能を保てなくなるのが低体温症。郡山、田村の2市と三春、小野の2町を管轄する同組合は、2014~23年の10年間に、計415人を救急搬送した。うち4人が死亡し、346人(83・4%)が重症または中等症で入院を余儀なくされた。
搬送者の9割近くを高齢者が占めるが、注目されるのは、雪かき作業中など屋外での発症92人(22・2%)に対し、屋内が323人(77・8%)に上った点だ。下半身はこたつに入っていたものの、室内は暖房オフの例もあったという。
同組合の担当者は「高齢者は運動量が減って筋肉が少なくなり、身体が冷えやすい。若い頃に比べて寒さに鈍感になる傾向もある」と指摘。政府の補助金が打ち切られて光熱費は上がるが、「命には代えられない。しっかり暖をとり、散歩などの運動や温かい食事で予防に努めてほしい」と話している。【根本太一】