言葉のサプリメントで悩みを解決しませんか――。和歌山県海南市下津図書館は、「背中を押してもらいたい」など利用者の“症状”に応じた本を薬袋に模した袋に入れて貸し出す「図書館薬局」を始めた。袋には「元気が出る」といった読後に期待できる“効能”などを処方箋のように記載。借りて袋を開けるまでどんな本が入っているかは分からないため、担当者は「今までとは違うジャンルの本との意外な出会いもできるはず」と期待している。
インターネットなどで紹介されていた他での取り組みをヒントに、初めて実施。来年1月12日までの期間限定で、先着順で100袋を用意し、図書館の職員がお薦めの本を選んで袋詰めした。
専用コーナーには、薬局でもらうような白い袋「よみぐすり」に入ったまま本が並べられている。袋には「前向きになりたい時」「好きなことをあきらめたくないひとに」などの症状を示すキーワードの他、「涙、あふれる」「勉強になる」などの効能が並ぶ。対象年齢は「未就学児」から「一般」まで五つに分かれている。来館者はチェック事項を頼りに本の題名を見ずに借りる仕組みだ。
貸し出しがスタートした21日に親子3人で立ち寄った近くの前原有紗さん(34)は、「子どもたちも家で袋を開けるまでドキドキワクワクして楽しめそう」と話していた。
企画した図書館司書の南方貴美子さんは、「人の輪をつなげるためにも、読んだ感想を職員に教えてほしい」と話している。
月曜休館。期間中は12月27日と年末年始(29日~1月3日)も休館する。問い合わせは同館(073・492・4489)。【加藤敦久】