13日に93歳で死去したJR東海・初代社長の須田寛さんは子どもの頃から鉄道好きだった。一線を退いた後も、鉄道友の会会長を務めるなど、鉄道と共に生きた人生だった。
小さいころからの鉄道好きが高じて当時の国鉄に入社した須田さん。鉄道愛好者団体の「鉄道友の会」会長を2007年から15年間務めた。今も名古屋支部会員だったという。
同会名古屋支部長の石川雅文さん(68)は「例会で時々講演してもらったが、その知識量に圧倒された」と思い出を語る。青春18きっぷやフルムーン夫婦グリーンパスなどの導入、「佐久間レールパーク」(現在は閉園)での車両保存などに尽力したのも、須田さん自身が「鉄ちゃん」であったからこそだという。
ここ数年は例会出席はなかったものの、「お元気だと聞いていたので、驚いた」と石川さん。最後まで一鉄道ファンを貫いた須田さんの訃報を残念がった。
JR東海は須田さんの死去を受け、「国鉄からJRへの移行期における諸課題の解決、経営基盤の強化などについて常に全社員の先頭に立ち、当社の発展に大いに寄与された」とのコメントを発表し、冥福を祈った。
一方、名古屋市の広沢一郎市長は、須田さんが中部の交通インフラの発展に大きく貢献したことを強調した上で「鉄道文化の保存と発展にも寄与され、この精神は『リニア・鉄道館』にも受け継がれている」と功績をたたえた。【黒尾透、真貝恒平】