茨城県ひたちなか市の那珂湊漁港で20日、養殖マサバの新しい県産ブランド「常陸乃国まさば」が初出荷され、県内41店舗に約650匹が届けられた。飲食店関係者や食べた客からは「脂がのっている」と好評だ。2025年1月にかけ、約3000匹を試験的に流通させる予定だ。
県では22年からマサバの養殖を始め、「常陸乃国」ブランドを名乗れるのは県内で人工種苗から養殖され、人工飼料を与えられたマサバのみ。天然物には寄生虫「アニサキス」がいて生食は難しいが、飼料で育てる養殖物は刺し身でも味わうことができる。
この日は午前7時過ぎから出荷作業を開始。水揚げされたマサバが「バタバタ」と生きの良い音を響かせる中、養殖に携わってきた県立海洋高校の生徒や県職員が血抜きして氷締めするなどしていた。
県立海洋高水産クラブの生徒たちは餌やりや、魚の体重や体長を計測してデータ化するなどして、昨秋に50グラム程度だった稚魚を1年以上かけて350グラム前後に育て上げてきた。水産クラブの大津直也さん(2年)は「この日を迎えられてうれしい。おいしく食べてくれたら」と笑顔を見せた。
マサバが届けられた店では早くも期待の声が上がっている。大洗町にある大洗海鮮市場海鮮どんぶり亭の長山俊一さん(50)は包丁を入れた瞬間に「脂がのっている」と一言。さばき終えると「脂のりが良いのにべたつかない」と納得の表情を見せた。
刺し身をしょうゆにつけると、しょうゆの表面にじんわりと脂が広がる。水戸市から訪れた由井廉之佑さん(23)は「光り物は生臭いイメージがあったが、匂いもせず、脂がのって食べやすい」と絶賛していた。
「常陸乃国まさば」が次に出荷されるのは25年1月10日を予定している。詳細は県のホームページに掲載されている。【西夏生】