12月24日は「マライア・キャリー『恋人たちのクリスマス』の日」。一般社団法人・日本記念日協会が11月に正式認定したばかりの新しい記念日だ。それにしても特定の歌手の人気曲がなぜ記念日に? 背景を探った。
軽やかな鈴のリズムにのって、米国の歌手マライアさんがゴージャスな美声で歌い上げる。クリスマスの季節に流れるおなじみの曲だ。
この曲(原題は「All I Want For Christmas Is You」)がリリースされたのは1994年のクリスマスシーズンだった。
30年たった今も人気だ。全米シングルチャートでは12月14日に1位となった。2019年以降、6年連続でクリスマスが来るたびに1位を獲得し、まさに季節の定番となっている。
日本では94年放送のテレビドラマ「29歳のクリスマス」の主題歌に採用され、日本国内だけで累計でシングル130万枚、アルバムは280万枚を売り上げた。
日本記念日協会の代表理事、加瀬清志さん(71)に経緯を聞くと、レコード会社のソニーミュージックから申請があったのだという。個人や企業から記念日の申請があると、協会で内容を審査し、認定されれば晴れて記念日として登録される仕組みだという。
どのような思いで申請したのか。ソニーミュージックの担当者に聞くと「24年に発売30周年を迎えたこの曲は、日本でも多くの方に長年愛されており、洋楽を普段あまり聞かない方でも一度は耳にしたことがある楽曲かと思います。今回の記念日認定は、日本から30周年を祝福するプレゼントになると考えました」という。申請は、レコード会社からマライアさんへのクリスマスプレゼントだったのだ。
加瀬さんは「人気のある曲で、30周年という節目の年。これだけ長く支持されているのは歴史的なこと」と、楽曲の意義を高く評価し、認定したという。認定についてはソニーミュージックのマライアさんのサイトでも紹介されている。
ほかのアーティストの記念日は?
加瀬さんは「海外アーティストの記念日はほかにもある」と言う。
例えば「ボン・ジョヴィの日」(5月21日)。24年に認定されたもう一つの新しい記念日だ。米国のロックバンド「ボン・ジョビ」のデビュー40周年を祝い、84年のファーストアルバム「夜明けのランナウェイ」(原題「Bon Jovi」)の日本での発売日を記念日として認定した。
ほかにも、66年のビートルズ来日にちなんだ「ビートルズの日」(6月29日)、ローリング・ストーンズの日本初公演(90年)を記念する「ザ・ローリング・ストーンズの日」(2月14日)もある。いずれもレコード会社が申請し、認定された。「アーティストに対して敬意を表しての申請でしょう。記念日として残れば、アーティストも喜んでくれるのではないか」と加瀬さんは話す。
ソニーミュージックのマライアさんの担当者に今後、記念日をどう過ごしたいかを尋ねると「ファンの皆様とともにこの曲をこれからも愛し続けられたら」という答えが返ってきた。【中嶋真希】