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斎藤知事パワハラ疑惑の百条委、25日に総括質疑 注目ポイントは?

毎日新聞 2024年12月25日 5時30分

 兵庫県の斎藤元彦知事がパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された問題で、兵庫県議会の調査特別委員会(百条委)は25日、総括質疑として斎藤氏らを公開で証人尋問し、実質的な審議を終える。告発文を作成した元県西播磨県民局長(7月に死亡)の懲戒処分を巡っては、斎藤氏と職員との間で証言の食い違いが明らかになっており、委員らはこうした点を含めて斎藤氏をただす構えだ。

 斎藤氏の尋問は8月30日、9月6日に続いて3回目で、11月の知事選後は初めて。斎藤氏は24日、毎日新聞などの取材に「しっかり説明していきたい」と述べた。百条委は総括質疑での証言を受けて審議内容を精査し、年明けをめどに報告書にまとめて公表する方針。

 元局長は3月中旬、斎藤氏のパワハラなど県政に関する「七つの疑惑」を文書にまとめ、報道機関などに匿名で送付した。それを知った斎藤氏は同21日、県幹部らに告発者の特定を指示。27日の記者会見で文書について問われると、「うそ八百」と非難し、元局長の懲戒処分を検討していることを明らかにした。

 元局長は4月4日、告発文書とほぼ同じ内容を県の公益通報窓口に通報。県は5月7日、文書は「核心的な部分が事実でなく、誹謗(ひぼう)中傷にあたる」と認定し、元局長を停職3カ月の懲戒処分にした。人事当局は当時、弁護士に相談し、公益通報の調査が終わっていない段階でも法的には処分可能との回答を得て、処分に踏み切ったとしている。

 こうした経緯について、10月の証人尋問では、井ノ本知明前総務部長が「公益通報の調査が終わるまで処分を待つべきだと知事に進言し、了解を得た」と証言。その後、斎藤氏から「(自身に対する批判の)風向きを変えたい」と告げられ、「騒がしい状況を早く鎮めたい思いもあったと推察し、(処分の前倒しを)指示として受け取った」と説明した。

 また、小橋浩一前理事も3月27日の記者会見後、斎藤氏に第三者委員会による調査を進言したと証言している。

 一方、斎藤氏は9月の証人尋問で、一連の対応について「問題はなかった」と強調。部下からの進言は「記憶がない」とし、処分の前倒しについても「調査は早くすべきだとはお願いしていたが、処分を早くとか、何かの手続きを取っ払ってやれとは言っていない」と否定した。

 25日の総括質疑では、斎藤氏のパワハラへの認識や元局長の公用パソコンに保存されていた私的情報とされるデータの漏えい疑惑も焦点になるとみられる。

 斎藤氏のパワハラを巡っては11日、「あったとの確証までは得られなかった」とする県公益通報委員会の調査結果が公表された。是正措置を求められた県は、斎藤氏らにハラスメント研修を実施すると発表した。公益通報委はパワハラをなかったとも認定しておらず、今後、百条委がどう判断するのか注目される。

 元局長の私的情報とされるデータについては、複数の県議が百条委の聞き取りに、井ノ本前総務部長から内容を伝えられたと証言している。斎藤氏は9月の尋問で片山安孝元副知事や井ノ本前総務部長ら4人に確認したが、全員が「知らない」と答えたと述べた。これとは別に、元局長に関すると称するデータもインターネット上で拡散されている。斎藤氏は県庁内から漏えいした可能性もあるとして、年内に第三者委員会を設置し、データの真偽も含めて調査する意向を示している。【中尾卓英、栗田亨、山田麻未】

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