昨年度のふるさと納税寄付額が全国2位だった北海道紋別市に返礼品の海産物を提供していた同市の水産加工会社が、「市が一方的にポータルサイト掲載を打ち切り、多額の損害を被った」として、市に約520万円の損害賠償を求める訴訟を25日、旭川地裁紋別支部に提訴した。
原告代理人弁護士によると、返礼品の提供業者が地元自治体に損害賠償を求める訴訟は全国でも異例。
訴状によると、ホタテやカキなど海産物の加工・販売をする同社は2020年ごろ、返礼品の提供業者として登録され、市のふるさと納税ポータルサイトに掲載された。
23年10月に国が経費に関する基準を厳格化したことを受け、同社は再登録を市に申し込んだが、市が書類確認を怠ったことなどから、国の審査を通った同年12月末までカキを返礼品として販売することができなかった。
その後、返礼品の代金や送料を巡ってもトラブルになり、24年2月に市が一方的にポータルサイトへの掲載を停止したことで損害を受けたとしている。
25日に記者会見した原告の同社社長は「地元の良いものを少しでも全国に広めたかったが、返礼品から排除され、ずさんな対応に傷ついた。市と事業者は対等であるべきだ」と訴えた。
紋別市は「訴訟提起予定であるとの情報は得ているが、現時点ではコメントできない」としている。【後藤佳怜】