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「袴田さんの供述に真摯に耳傾けず」 最高検が検証結果を公表

毎日新聞 2024年12月26日 13時30分

 1966年6月に静岡県清水市(現静岡市)で一家4人が殺害された事件で、再審無罪が確定した袴田巌さん(88)に対する検察官の当時の取り調べについて、最高検は26日、「袴田さんの供述に真摯(しんし)に耳を傾けたものではなかった」とする検証結果を公表した。

 長期にわたった再審請求審にも言及。請求審で、捜査当局側が保有する証拠の発見が遅れたとし、「証拠の保管・把握が不十分だった」とした。

 一方で、最初の再審開始決定に不服を申し立てたことや、再審で有罪立証したことは問題がなかったとした。

 事件は66年6月30日未明に起きた。清水市のみそ製造会社の専務一家が殺害されて袴田さんが逮捕・起訴され、静岡地裁は68年に袴田さんに死刑を言い渡した。

 死刑判決は80年に最高裁で確定。しかし、2008年に始まった第2次請求審で、静岡地裁が14年、再審開始と袴田さんの釈放を決定した。

 検察側は不服を申し立て、決定は一度は取り消されたが、東京高裁が約2年の審理の末、再審開始を決めた。

 検察側は不服を申し立てず、23年3月に再審開始が確定した。静岡地裁が再審開始決定が出て確定するまで、実に9年を要した。

 静岡地裁は24年9月、袴田さんに再審無罪判決を言い渡した。地裁は判決で、確定判決が犯行着衣と認定した「5点の衣類」と、袴田さんの実家から見つかった5点の衣類の一つであるズボンと同じ生地の切れ端、自白調書について、捜査当局による三つの捏造(ねつぞう)があったと認めていた。

 検察トップの畝本直美検事総長は24年10月に控訴断念を発表した際に、「袴田さんは相当な長期間にわたり、法的地位が不安定な状況に置かれてきた」とする談話を出し、最高検として一連の経緯を検証する考えを明らかにしていた。【安元久美子、北村秀徳、岩本桜】

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