日本原子力研究開発機構は26日、東京電力福島第1原発2号機で初採取された溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の試料からウランが検出されたと発表した。他にも核燃料に由来する放射性物質が複数確認され、記者会見した担当者は「典型的な燃料デブリの一部だと考えている」と述べた。
ウランは表面の広範囲に確認されたほか、核燃料の被覆管に含まれるジルコニウムや核分裂で生成するアメリシウムも検出された。原子炉内の構造物に由来するとみられる鉄やニッケルも見つかった。
重さ0・7グラムの試料は、大きさは縦約9ミリ、横約7ミリ。表面は赤褐色で、一部に光沢や黒色の部分があり、不均一な形状だった。1~2センチの距離から測った放射線量は毎時約8ミリシーベルトだった。内部には複数の空洞があるとみられ、燃料デブリが冷えて固まる過程でできたと推測される。
分析は11月14日から機構の大洗研究所(茨城県)で実施しており、今後は試料を切断してより詳しい分析を続ける。当初から予定していた県内4カ所の分析機関に加え、ごく微小な結晶構造の分析ができる大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県)でも分析する。ウランなどの結晶構造を詳細に調べ、事故時の原子炉や周辺の状況を推定する。【高橋由衣】