岸和田市の永野耕平市長(46)が不適切な関係にあった府内の女性から損害賠償を求める訴訟を起こされて和解した問題で、女性の代理人弁護士が26日、女性の心境や永野氏の主張への反論をつづった書面を公表した。永野氏から「和解金を抑えるために、和解内容の口外禁止条項を外してほしいと打診を受けた」などと明かした。
裁判は永野氏が女性に謝罪して解決金500万円を支払う内容で和解。口外禁止の条件は付けられなかった。
永野氏は問題発覚後の記者会見で、女性とのトラブルや和解の内容について「裁判所で秘匿されているため話せない」などと述べ、説明を避けてきた。
また、女性と不適切な関係にあったことは認めつつ、「性加害はなかった」と主張している。
一方、和解調書(11月14日付)は永野氏が「女性の就職や雇用維持を左右し得る優越的な立場にあった」と指摘。公人で配偶者がいる点にも触れ、「性的関係を持つのは自制すべきだったとの非難を免れない」と批判した。女性は「泣きながら拒絶したが、立場や権力を乱用して逃げられないようにした」などと主張している。
公表された書面では、女性の現在の心境を「市長が単なる不貞行為にすり替えようとしていることについて、非常に憤っている」と表現。永野氏が「その立場を利用して、一方的な主張や都合よく脚色したストーリーを発信している」などと批判した。
永野氏は24日、この問題を巡って不信任決議を可決した市議会を解散した。決議は理由の一つに、市議会全員協議会で永野氏に訴訟内容の説明を求めたが、説明責任が果たされなかったことを挙げた。【中村宰和】