風邪の感染症法上の位置づけが新型コロナウイルスと同じ5類になることがSNS(ネット交流サービス)上で話題になっている。
だが誤解に基づいた意見も飛び交う。
私たちの暮らしに何か影響はあるのか。Q&Aでまとめた。【肥沼直寛】
Q 風邪が5類になる?
A 正確に言うと、風邪を含む急性呼吸器感染症(ARI)を5類とする対応のことです。
ARIは鼻炎や副鼻腔(びくう)炎などの上気道炎、気管支炎や肺炎などの下気道炎を引き起こす病原体による病気の総称です。
風邪のほか、新型コロナやインフルエンザ、RSウイルス感染症、咽頭(いんとう)結膜熱などが含まれます。
Q 5類にする理由は?
A ARIは飛沫(ひまつ)により、周りの人に感染しやすい特徴があります。新型コロナやインフルエンザなどと同じ扱いの5類に定めることで、平時から国内での発生動向を把握することができます。
新型コロナの感染拡大が始まった時のように、未知の感染症の発生にいち早く気づき、パンデミック(世界的大流行)など有事への対応に速やかに移れることが期待されています。
Q ARIはどう監視する?
A 2025年4月7日から、全国約3000の定点医療機関に1週間当たりの患者数を報告してもらいます。
報告対象は、せきや喉の痛み、鼻水、鼻づまりなどのいずれかの症状があり、発症から10日以内の患者数です。
新型コロナなど知られている病気にあてはまらない場合や風邪も、「その他」として報告します。また、約300の医療機関からは患者から採取した検体を提供してもらい、病原体を分析します。
Q 私たちの生活にどんな影響がある?
A 5類に移行する以前の新型コロナのように外出自粛を求められることはありません。就業制限や学校での出席停止期間もありません。医療費の自己負担もこれまでと同じです。
現行法では新型コロナワクチンを含めて接種を強制されることはありませんが、SNS上では「風邪ワクチンを強制的に打たせる予定」との誤解が広がっています。報告を求められる医療機関の負担などをのぞけば、患者への影響はありません。