2025年大阪・関西万博の開幕(4月13日)まで100日余り。建設の遅れが指摘された海外パビリオンは全47カ国が着工し、準備は進みつつある。一方で、入場チケットは1400万枚の前売り目標に対し、約744万枚(18日現在)にとどまり、運営費(1160億円)をカバーできるのか不安視される。万博を主催する日本国際博覧会協会の石毛博行事務総長に課題と展望を聞いた。【聞き手・東久保逸夫、高瀬浩平】
――万博の最大の売りは何か。
◆やはり海外パビリオンだろう。50近い独立のパビリオンが建ち、約160の国や地域が参加する。その建築や展示は重要だ。それに負けずとも劣らないのが大屋根リングだ。この紛争や分断の時代に、各国が輪の中に入り、みんなをつなげるという象徴になる。
――5日の記者会見で、海外パビリオンの内装や展示が開幕に間に合わない可能性があるとの発言があった。
◆それは、過去の万博でそういうケースもあったという意味だ。我々としては4月13日がデッドラインで、それに間に合うようにサポートしなければならない。ただ、過去の万博に関わった時、主催者からほとんどアプローチを受けたことがなかった。今回の万博はアプローチしているし、スケジュール管理もびしびしやっている。
――入場チケットは前売り目標の半分にとどまっている。
◆1400万枚は一つのめどで、必達目標のようなものではない。チケット収入で運営費の大半を賄うことが最終目標になる。できるだけ前売りで収入を確保できれば、支出を管理しやすくなるが、開幕後のほうがチケット収入という面ではより重要になるだろう。
――前売り1400万枚というのは、高めの目標か。
◆率直に申し上げれば、そうではないか。万博は1回ごとに違うので予測がとても難しい。それでいて、収支相償(公益法人は、事業による収入が適正な費用を超えてはならないという規定)しなければならない。万博は支出が先行するので見込みでやるしかないが、ステークホルダー(利害関係者)に迷惑をかけないようにするというディシプリン(規律)は強い。
――赤字が出た場合、逆に余剰金が発生した場合はどうするか。
◆決まっていない。それは万博が終わってから協議することだ。今までの万博でもそうしている。今やるべきはチケットをしっかり販売することだ。
――どうチケット販売を伸ばすのか。
◆来年1月13日からパビリオンやイベントの来場予約が始まる。それが一つのインセンティブ(誘引)になるだろう。
コンテンツの内容からすれば、十分に集客力がある。過去の万博も入場者数は尻上がりになっている。その形は変わらないと思うが、(開幕直後の)最初の一歩を多く獲得し、その水準を変えるチャレンジをしようとしている。とりわけ4月、5月の来場を働きかけたい。
万博は口コミの力が強いイベントだ。SNS(ネット交流サービス)での発信も強化したい。