世界保健機関(WHO)は7日、中国で増加が報告されているヒトメタニューモウイルスによる急性呼吸器感染症について情報を発表した。北半球の多くの国で毎年冬から春にかけて活発化する傾向があり、中国での増加も「予想される範囲内」であるとした。
WHOは、中国疾病予防コントロールセンターが公表した2024年12月29日までのデータを引用し、特に中国北部でヒトメタニューモウイルスの検出が増えていると報告した。ただし、直近の数週間で最も増えている呼吸器感染症は季節性インフルエンザで、中国の保健当局からは異常な感染拡大や医療体制の逼迫(ひっぱく)などの報告は受けていないという。
米疾病対策センター(CDC)などによると、ヒトメタニューモウイルスは、呼吸器感染症の原因となる一般的なウイルスの一つ。主に子どもや高齢者、免疫機能が低下した人に、せきや発熱、鼻づまりなど、風邪のような症状を引き起こす。
多くの人は軽い症状で数日で回復するが、時に肺炎など重症化することもある。潜伏期間は3~6日と推定され、感染者のせきなどを通して感染する。流行期は冬~春で、ワクチンや治療薬はない。
WHOは、手洗い▽混雑した場所でのマスク着用▽症状のある人は出歩かないこと――など一般的な感染対策を呼びかけている。【中村好見】