ピースボート災害支援センター(東京都新宿区)は、佐賀県大町町でキッチンカーを活用した全国初となる移動型無人コミュニティフリッジ「FOOBOUR(フーバー)」を2024年8月末に始動させた。利用対象は町在住の児童扶養手当を受給する一人親世帯だが、その5割近くが会員登録するなど浸透。10日からは町と協力してフードドライブも始め、町内2カ所で町民からの支援物資を受け付けている。
コミュニティフリッジは「公共の冷蔵庫」と呼ばれ、支援が必要な人が企業や団体などから提供された食料品や日用品を無料で受け取ることができる施設。「FOOBOUR」は24年8月28日に開設し、現在は町内の利用対象世帯の5割弱の24世帯が会員登録している。
センターは19年と21年の水害の際に同町で支援活動をした縁で、23年2月に佐賀市内に佐賀事務所を設置。同12月に町と包括連携協定を締結したことから「FOOBOUR」を開設した。支援が必要な人のために食品を手に入れられる「港」になることを目指し、「FOOD」と「HARBOUR」を組み合わせて命名した。
「FOOBOUR」は1・5トン車のキッチンカーで、後部の荷室に支援品が積まれている。平常時は町総合福祉保健センターの北側駐車場に止められており、会員登録すれば24時間365日利用できる。冷蔵庫や冷凍庫、シンクなども装備し、災害時には被災地に出動して温かい食事を届けることもできる。
会員になると携帯電話のアプリを使って解錠し、車内に入って支援品を持ち帰ることができる。支援品にはレトルト食品やカップ麺、パスタ、菓子、水などの食料品や、洗剤やタオル、Tシャツ、生理用品などの日用品を取りそろえている。
支援品は県内外の企業や団体の寄付で賄われているが、10日からは一般町民からも家庭に眠る未開封の食料品(生鮮食品は不可。賞味期限が1カ月以上あるもの)や未使用の日用品を提供してもらえるよう、町の協力を得て町総合福祉保健センターと大町町公民館に窓口を設けた。
佐賀事務所の寺地高志さん(35)は「将来的には利用対象者の地域を広げることも検討している。平時はフードバンク事業、災害時は出動して食に困っている人の支援のため、物資や資金の協力をお願いします」と呼びかけている。ふるさと納税による寄付もあり、センターのホームページから支援できる。問い合わせは同センターの寺地さん(050・1706・7709)。【斎藤毅】