コナラやミズナラなどの広葉樹を枯らす伝染病「ナラ枯れ」が2024年10月末現在、栃木県内17市町で確認された。半年余りで新たに1万4114本の被害が見つかり、県は被害の拡大防止に全力をあげるとしている。【有田浩子】
ナラ枯れは、在来種・カシノナガキクイムシ(通称・カシナガ)が媒介する「ナラ菌」の繁殖により発生し、樹木を集団的に枯らす。大きな木を好み、幹に入り込み、掘ったところを伝ってまん延させる。
木の中で成長・羽化した新しい成虫が飛び立ち、別の健全な木の幹に入りこむことで被害が拡大する。上空からみると、紅葉期ではない7月下旬から8月中旬にかけて葉が赤褐色に変わり枯れる。
県内で初めて確認されたのは20年度で、足利市、栃木市、小山市の県南部3市で56本見つかった。
23年度末にはさくら市、鹿沼市などが加わり13市町で9037本が新たに確認された。24年4月から10月末までの半年余りで、さらに日光市、茂木町など4市町増えて過去最多となる1万4114本が新たに確認されるなど被害は拡大傾向にある。
県は被害の先端地である4市町での監視を強化するとともに、防災ヘリを活用した空中探査や車での地上探査を実施し、防除対策をしている。
対策には、保護したい幹に殺虫剤を塗り、カシナガの穿入(せんにゅう)を防ぐ予防法もあるが、県ではナラ枯れが起きた木の中から、カシナガが飛び立ち新たな被害をもたらすのを防ぐ駆除に力を入れている。
特に公園内や電線付近、民家の裏など枯れて倒木の危険があるものは伐採し、不織布のようなもので覆い「くん蒸」処理する。
ナラ枯れは全国的に00年ごろから被害が拡大。10年をピークに一時減少傾向にあったが15年以降、再び拡大している。全国で23年度に44都道府県で被害を確認している。