静岡県掛川市の掛川城二の丸茶室で13日朝に再開した藤井聡太王将(22)と挑戦者・永瀬拓矢九段(32)のALSOK杯第74期王将戦七番勝負(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社主催)の第1局は同日午後0時半、54手まで進んだところで1時間の昼食休憩に入った。残り時間は永瀬九段3時間10分、藤井王将1時間46分。
相掛かりの力戦になり、先手番の永瀬九段が攻勢に立った本局。永瀬九段は7七桂の封じ手(47手目)の後も攻撃の手を緩めない。6五桂(51手目)、4五桂(53手目)と、いずれも短い考慮時間で左右の桂馬が五段目に跳ね出し、迫力満点だ。
防戦に追われる藤井王将は、少しでも間違えると一気に形勢を損ねる恐れがあり、惜しみなく時間を使って考えている。4五桂への応手に1時間16分考えた時点で、永瀬九段の消費時間を2時間上回った。なおも考え続け、1時間半の大長考の末、1筋の金を2三金と寄った。
控室の検討では「指しにくい」とされていた手で、解説の神谷広志八段は「へえー」を連発。「1秒も考えませんでした。やりたい放題やられそうな気もするが、藤井王将が1時間半も考えた手ですからね」と驚がくしていた。
永瀬九段も意表を突かれたのか、50分考え、次の手を指さずに昼食休憩に入った。【新土居仁昌】