歴史や文化資源を生かした観光振興を図る栃木県足利市は、同市通6の文化財「物外軒」での飲食や茶菓の提供の可能性を探るため、市内の民間業者に試行してもらう実証実験を3月前半に実施することを決め、14日から協力店舗の募集を始めた。飲食店、菓子店を対象に最大3店舗を予定しており、2月14日まで市オンライン申請システムで受け付ける。
物外軒は、江戸時代から続いた豪商の屋敷跡で、小高い築山や池などを配した庭園(国登録記念物)、明治時代に渡良瀬川河畔の舟運業者邸から移築した茶室(市指定文化財)からなる。1973年に市に寄付され、現在は市民団体「足利庭園文化研究会」に管理業務を委託し、春と秋に期間限定で無料公開されている。
近年はウエディングプランナーからの提案で、茶室や庭園で結婚記念写真を撮影したり、秋のライトアップに合わせ演奏会や会議の会場として利用したりしているが、さらに幅広い誘客のため、飲食の提供の可能性を探ることにした。
実証実験は3月1日~16日を予定しており、協力業者はこのうち1~5日間出店する。開店時間は午前9時~午後4時の間で、出店者が自由に設定できる。出店料は無料。電気、水道は使えるが、調理施設はないという。
実験では、実際に飲食物を提供する上で、不足している設備や環境、食品衛生法や消防法上の課題などについて民間の意見を聞く。同市教委文化課は「現状の課題を洗い出し、今後の市有文化財の効果的な活用に生かしたい」と話している。問い合わせは同課(0284・20・2230)。【太田穣】