第172回芥川賞(日本文学振興会主催)の選考会が15日、東京都内で開かれ、安堂ホセさん(30)の「DTOPIA(デートピア)」(文芸秋季号)と鈴木結生(ゆうい)さん(23)の「ゲーテはすべてを言った」(小説トリッパー秋季号)が選ばれた。
芥川賞選考委員・島田雅彦さんの話
力作がそろった中、もっとも「過剰」な2作が選ばれた。過剰さの質はそれぞれ異なる。
安堂作品はテーマがてんこ盛りで、その過剰さが目立った。セクシュアルマイノリティーに対する差別や偏見などは、作者の過去の作品に通底するテーマだが、それらが作中のエピソードに落とし込まれている。
鈴木作品は選考委員から「雑学小説」などという言葉で評された。ゲーテという知の巨人が残した著作の森に迷い込みながら、(作中に登場する)文学研究者たちの一連の動きが立体化しているのが魅力的だった。