新聞労連は17日、この1年間の優れた新聞報道を表彰する第29回新聞労連ジャーナリズム大賞を発表した。毎日新聞社会部東京グループの遠藤浩二記者による「追跡 公安捜査」が大賞に選ばれた。
この連載は、化学機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)社長らの起訴が取り消された冤罪(えんざい)事件について、警視庁公安部の捜査の問題点を追及している遠藤記者の取材録。選考委員会は「調査報道で権力監視を果たした。記者の息づかいが聞こえてくるような迫力ある内容だった」と評価した。
人権を守り、報道への信頼増進に寄与する記事が対象の第19回疋田桂一郎賞には、毎日新聞英文毎日室(前大津支局近江八幡通信部)の村瀬優子記者による「新型コロナワクチン接種を巡る消防職員への人権侵害を追及した一連の報道」が選ばれた。選考委は「地方の人員が減っている全国紙記者の地域密着報道として意義がある」とした。
他の受賞は、大賞=「企業版ふるさと納税」の寄付金還流疑惑に関する一連の報道(河北新報)、鍬を握る 満蒙開拓からの問い(信濃毎日新聞)▽優秀賞=連載・キャンペーン報道「希望って何ですか 続・貧困の中の子ども」(下野新聞)、京都府警本部長「殺すぞ」暴言を巡る一連の報道(京都新聞)、いじめ問題を追う~防止法10年(西日本新聞)▽特別賞=自衛隊訓練場新設計画の断念に至るまでの一連の報道、安和の現場から 事故は防げなかったのか(以上、沖縄タイムス)、「歩く民主主義 100の声」と「国策と闘う」(琉球新報)▽疋田賞=連載「なかったことにしたくない―災害時の性暴力」(神戸新聞)。