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千田八段「AI同士の対局での知識生きた」 A級順位戦ポイント解説

毎日新聞 2025年1月16日 8時30分

 藤井聡太名人(22)への挑戦権を争う第83期名人戦A級順位戦の7回戦が15日、東京都渋谷区の将棋会館で指され、千田翔太八段(30)が佐々木勇気八段(30)に102手で勝ち、挑戦争いに踏みとどまる4勝目を挙げた。年が明けてからのA級順位戦は上位陣が連敗し、挑戦争いは予断を許さない状態が続いている。

手になるとは

 夕食休憩明けから勝負が動き出した。先手番の佐々木八段が1筋の端を攻めたのに対し、千田八段が9五歩から穴熊囲いの佐々木玉に攻めかかった。「(同歩に9六歩と)垂らされて手になっちゃうのか」と佐々木八段は終局後、意外そうだったが、千田八段には自信があった。

 将棋AI(人工知能)同士を対戦させた時に1筋からの攻めに9筋から反撃する手順をAIが選び、有効な攻めの手順として「基本的な知見は得ていた」と千田八段。その対局と微妙な駒の配置の差はあったが、本局でも有効だと判断した。その手順を軽視して佐々木八段が1三歩成と攻め合ったため、より戦場に近い玉を攻めている千田八段が優勢に立ち、午後10時前の早い終局に追い込んだ。早くからAI研究に取り組んできた千田八段らしい白星となった。

 14日に1位集団に付けた増田康宏八段(27)が3敗目を喫したのに続いて佐々木八段も3敗に後退。千田八段は1月28日のA級8回戦一斉対局で、2敗の永瀬拓矢九段(32)との直接対決という大一番を迎える。【丸山進】

A級順位戦の星取り(カッコ内は順位)

 5勝2敗=佐藤天彦九段(6)

 4勝2敗=永瀬九段(2)

 4勝3敗=佐々木八段(7)▽千田八段(9)▽増田八段(10)

 3勝3敗=渡辺明九段(3)

 3勝4敗=豊島将之九段(1)▽中村太地八段(8)

 2勝5敗=菅井竜也八段(4)▽稲葉陽八段(5)

 

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