東宝は16日、建て替えによる2030年度の開場を目指す新たな帝国劇場(東京都千代田区)の設計者に「小堀哲夫建築設計事務所」の小堀哲夫さん(53)が選ばれたと発表した。小堀さんは、場所の歴史や自然環境と人間のつながりを重視する設計思想で知られ、代表作に「ROKI Global Innovation Center―ROGIC―」(浜松市)などがある。
複数の参加者を東宝側が決めて競われる「指名型プロポーザルコンペ」を実施。東宝によると、小堀さんの提案は帝劇の歴史と意義を深く研究した上で、堀端に立つロケーションを生かして自然光を取り入れながら、四季の移ろいを感じられる点などが高く評価された。
デザインのコンセプトは「THE VEIL(ベール)」。小堀さんによると、ベールという言葉が持つ美しさや神秘性を、新しい帝劇の建物がまとうイメージを思い描いているという。客席数は現・帝劇(約2000席)と同規模ながら、より舞台が見やすく、ゆとりのある座席を整備。バリアフリーに配慮し、屋外からもスムーズに客席にアクセスできるようにする。
現・帝劇は1966年にオープン。今年2月末にビルの再開発のため休館する。【広瀬登】