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夢を追い大学で学び直す 「おうち料理研究家」みきママさん

毎日新聞 2025年1月18日 8時0分

 社会人になってからも、大学に入り直すなどして、自身のスキルアップのために新しいことを学ぶ。「人生100年時代」といわれる今、そんな「大人の学び直し」の人気が高まっている。現在料理研究家として活躍しながらも、そんな「学び直し」を実践する「みきママ」こと藤原美樹さん(44)に、現在の生活や社会人になってから学び直すことの意義についてお話をうかがった。【明治大・米林爽永(キャンパる編集部)】

本業は「おうち料理研究家」

 みきママさんは、大学卒業後に旅行好きが高じて旅行会社に就職。結婚し子どもを授かった後、2008年に料理ブログ「みきママの毎日家ごはん。」を開設。誰でも簡単に安価で作ることができる時短レシピや節約レシピを紹介して一躍人気を集めた。飾らない人柄も好評で、現在はおうち料理研究家としてテレビや本、ユーチューブなどさまざまな場で活躍している。

 そんなみきママさんにはもう一つの顔がある。それは、現役大学生ということだ。

 最初に学んだ大学は、高校卒業後に進学した法政大学社会学部だった。大学選びでは「何を学びたいか、ということよりも、人気の大学に入れるか、ということばかりを考えていた」という。また在学中も「学業より遊びに精を出していた」とのことだった。

管理栄養士になりたくて

 おうち料理研究家として活躍する中、40歳になって2度目の大学進学という新たな挑戦を決断したのは、ステップアップをしたいという気持ちがあったからだとみきママさんは語った。「フォロワーもついて、本も出版して、仕事もある。ただ、それより次のステップにいき、みんなが健康で長生きできるような食事を提案したい」

 栄養に関してより多くの人に情報を届けるには管理栄養士の資格が必要になる。そこで同資格を目指すことができる東京家政大学栄養学部に進学した。

 現在は大学3年生。4年生の3月に受ける国家試験のため、年若い学生たちと一緒に日々学業に励んでいる。大学から帰宅後も、ユーチューブで講義動画を聞きながら家事をしたり、授業で分からないことがあるとすぐ教授に聞きに行ったりするそうだ。みきママさんは、そんな自分を「生まれたての赤ちゃんのように吸収している」と表現する。

 1度目の大学生活と何より違うのは学業に対する姿勢だ。「目的が分からないままなんとなくやる勉強ではなく、今勉強していることをこれからみんなに発信するのだと思ってやる勉強は、プレッシャーはあるが次につながる実感があり、今が初めて勉強しているようだ」と語る。

戦いのような日々

 大学に入り直す、という決断をした当初は、周りから反対されたという。しかし「それでも腐らずに、受験勉強を頑張り続ける自身の背中を周りに見せることで、反対も応援へと次第に変わっていった」とみきママさんは話す。

 ただ、家事や仕事に加えて学業をこなす生活は並大抵のことではない。午前中から大学で授業を受け、授業後はすぐ自宅へ帰宅。その後夕飯づくりなど家事や仕事をこなす。全てが終わっても夜更かしはせず、翌日午前中の授業に間に合うように、すぐにお風呂に入り、なるべく午前0時までに寝る。限られた時間内でやるべきことを集中してこなすという、戦いのような日々だ。

 しかし、そういった忙しい毎日が、おうち料理研究家として手早く料理を仕上げるためのレシピづくりのモチベーションになるのだという。また自身の頑張る姿が大学生、高校生、小学生の3人の子どもたちに良い刺激を与えるという効果もあるそうだ。

120歳まで生きる

 自らの長男と同世代の同級生たちとは対等の物言いをし、時にはケンカもするほど打ち解け合っているのだそうだ。ただ同級生らと交流する中で、年上の社会人であるみきママさんには今の若者は強がってかっこつけていると感じることがあるという。「分からないことがあったらすぐ教授に聞きに行ったり、気になる人がいれば恥ずかしがらずに話しかけに行ったりすることが大学生活を充実させるコツだ」と明かしてくれた。

 社会人になってからも自分の夢を追い続けるためのコツについてうかがった。「私は120歳まで生きると思っているから、何度でもやり直せると思っている」というのが、みきママさんの答えだった。

 自分の夢を追い続けた結果として得た、現在の大学生活。「それは本当に楽しい。独学で勉強するとなると、ここまで集中して勉強できなかった。大学ではたくさんの学びが得られるので、本当に貴重な機会を与えられている」とみきママさんは語った。

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