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基礎年金の底上げ案、実施判断は2029年以降に先送りへ 厚労省

毎日新聞 2025年1月17日 18時9分

 厚生労働省は、厚生年金の積立金を基礎年金(国民年金)の給付に振り分けて基礎年金を底上げする案の実施判断を、2029年以降に先送りする調整に入った。通常国会に提出する年金制度改革関連法案にこの案自体は盛り込むものの、5年に1度の次期財政検証(29年)の結果や経済情勢、国庫負担の財源確保策の検討状況などを踏まえ、改めて判断する。このため、物価や賃金の伸びよりも年金の給付を抑える現行の仕組みは、厚生年金で想定より長く続くことになる。

 公的年金は全国民共通の基礎年金と、会社員らが加入する厚生年金の2階建て。少子高齢化の影響で財政が安定するまで、物価や賃金の伸びよりも年金を減らす仕組みを導入しており、現状では財政が厳しい基礎年金は57年度まで適用される。一方、財政が安定している厚生年金は26年度にも終了する見通しだったため、減額する仕組みの終了を厚生年金と基礎年金で36年度にそろえ、厚生年金の積立金を基礎年金の給付に振り替えることで、基礎年金の給付水準の底上げを図りたい考えだった。

 ただ、この案を実施すれば厚生年金の年金額が一時的に減少し、給付水準底上げに伴い追加の国庫負担が57年度には2・5兆円必要になる。今後経済が好転すれば必要性が薄れかねないため、自民党から実施に慎重論が上がっていた。

 厚生年金を減額する期間は厚生年金の適用拡大が進めば28年度にも終わる見通しだったが、今回の先送りで少なくとも30年度まで継続させる方針だ。【宇多川はるか、神足俊輔】

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