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「痴漢に遭うリスクが…」 共通テストは私服?制服? 悩んだ受験生

毎日新聞 2025年1月19日 16時7分

 大学入学共通テスト当日は受験生が被害に遭っても遅刻を恐れて通報をためらう心理につけ込み、痴漢行為をあおるSNS(ネット交流サービス)の投稿がここ数年、問題となっている。

 「痴漢に狙われないよう学校から私服着用を指示された」という書き込みが話題となったが、東京都内の試験会場では私服と制服の割合はおおむね半々だった。防寒のため私服を選んだ生徒もいた一方、「私服にするか制服にするか悩んだ」という声も聞かれた。

「こんな情けない理由で……」

 「うちの娘が受験生なんですけど学校で『入試には制服で行かないように、制服だと痴漢被害に遭うリスクがあるから』と言われたらしくて」

 X(ツイッター)では、受験生の保護者とみられるアカウントの、8日の投稿の表示回数が1200万件を超え、9・5万件の「いいね」が寄せられた。

 返信欄には「こんな情けない理由で制服のほうが集中できるという娘にも私服で行かせるしかない」「大学入試の日に遅延して混んでいる電車内で痴漢に遭ったのを思い出しました。泣き寝入りして試験を受けに行きましたがもうあんな思いを他の方にして欲しくないので私服で行った方がいいかもしれないですね……」などの反応があった。

試験会場の服装は半々

 ここ数年、テスト当日に遅刻できない受験生を狙った痴漢行為について、メディアやSNSで注意喚起されるようになり、警察も対応を強化している。

 かつては「現役生は制服、浪人生は私服」というイメージがあったが、大学入試センターは「試験当日の服装は、高等学校の制服でも私服でもどちらでも構いません」と呼びかけており、以前よりも私服での受験を意識する受験生や保護者が増えてきたようだ。

 実際はどうだったのか。18日朝、東京大本郷試験場(東京都文京区)の正門前では私服とみられる厚手のズボンを履いている女子生徒が多く見られた一方、同じ柄のスカート姿でまとまって列に並んでいる生徒も多く、全体の半数程度は制服姿という印象だった。

防寒のためズボン着用も

 試験後、会場から出てきた制服姿の私立高校3年の女子生徒に聞くと「制服か私服かはすごく悩みました。周囲を見て私服の人ばかりだったら、2日目は私服にしようと思っていた」と明かす。

 実際には同級生も含めて制服着用が多かったことで、安心した様子だ。「卒業まで残りわずかなので、できるだけ制服で過ごしたい」と笑顔で話していた。都立高3年の男子生徒は「学校からはどちらでもいいと言われたけど、無難かなと思った」と制服姿だった。

 一方、都立高3年の女子生徒は、防寒のしやすさなどから私服のズボンで試験に臨んだが、「別のクラスは担任の先生に『制服で行くように』と指示されたようだ。理由はよくわからない」と首をかしげた。【西本紗保美】

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