石破茂首相は19日、大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)を訪れ、大阪・関西万博(4月13日開幕)の会場を初めて視察した。政府が出展する日本館や海外の要人をもてなす「迎賓館」を見学し、関係者から工事の進み具合などを聞き取った。視察後の取材に、能登半島地震からの復興を後押しするため、会場に伝統工芸・輪島塗の地球儀を展示する方針を明らかにした。
地球儀は、輪島塗で地球の夜景を表現した「夜の地球 Earth at Night」(直径約1メートル)で、国の重要無形文化財保持団体「輪島塗技術保存会」が制作したもの。「世界を俯瞰(ふかん)で捉えることで、対立や分断を超えて他者に思いを巡らせてほしい」との思いが込められている。
事務方の説明によると、2024年12月に万博からの撤退が明らかになったイランが出展を予定していたパビリオン内に展示する方向で、調整しているという。
同行した吉村洋文大阪府知事は視察後、報道陣の取材に応じ、「万博後も年に1度、ライフサイエンスや命をテーマに夢洲で大規模な国際会議を開催したい」と首相に提案したと明らかにした。【東久保逸夫】