二十四節気の一つ、一年で最も寒い時期とされる大寒の20日、青森市の八甲田山系、酸ケ湯温泉では、冬の名物「凍(し)み豆腐」作りが行われた。酸ケ湯温泉の職員や湯治客ら約15人が駐車場の一角に集まり、ワイヤに木綿豆腐1400個をつるした。旅館で宿泊客の食事に使われる他、青森市内で一般向けにも販売される。
冷え込みの厳しい冬の八甲田で木綿豆腐を一晩外気で凍らせ、水分を抜いた保存食。凍み豆腐作りに参加した豆腐会社の担当者は「干すことで味をよく吸い込むようになるので鍋料理などにぴったり」と胸を張る。
昨年から宿泊客らも作業を手伝うようになり、今回は5人が参加。埼玉県川越市から湯治に訪れていた虫本佳子さん(74)は「地元の食材作りに携われてすごくいい勉強になった」と笑顔を見せた。
この時期の最高気温は氷点下5度ほどだが、この日は3月下旬並みの1・8度まで上がった。酸ケ湯温泉営業企画室の内本匡史さんは「例年より暖かい大寒で作業はしやすかった。おいしく仕上がるために、夜はしっかり冷え込んでくれれば」と話した。【江沢雄志】