下請け業者に金型を無償で保管するよう強要したとして、公正取引委員会は23日、自動車部品製造業「東京ラヂエーター製造」(神奈川県藤沢市)の下請け法違反(不当な経済上の利益の提供要請)を認定し、再発防止を勧告した。
公取委によると、同社は遅くとも2022年12月以降、取引先の30社に対し、自社で保有する金型計2389個を無償で保管させていた。同社は主にトラックのラジエーター(熱交換器)など大型の部品を製造しており、重さが4トンに上る金型もあった。
金型の数は同種事案で過去2番目に多い。1993年以降、一度も使用されていない金型が確認されたほか、外部に倉庫を借りて保管スペースを確保していた下請け業者もいたという。
同社は「下請け代金に保管料も入っているつもりだった」などと説明。だが具体的な保管料の額を答えられなかったことから、公取委は未払いと判断した。同社は金型の廃棄や保管料の支払いを進める。
金型の無償保管を巡る公取委の勧告は23年3月の初勧告以降、9件目。公取委は23日「当事者の問題認識があまりに低い」などとして金型を扱う事業者に自主点検を呼び掛けた。下請け法には、公取委から調査を受ける前に違反行為を申し出るなどすれば勧告を免除される「自発的申し出制度」があり、こうした制度も活用するよう求めた。【渡辺暢】