名古屋市の学校教員や児童生徒の保護者からの会費で運営されている任意団体「名古屋市教育会」(同市東区)が、3月末で解散する方針を固めた。同会は各校の文化活動や教職員研修への支援名目で集金していたが、支出の3分の1が同会職員の給与に充てられており、一部保護者や教員から「校長の天下り組織」などの批判が出ていた。
市教育会では、名古屋市立の小中高校などで毎年新学期にクラスの担任が「教育会入会のお願い」と書かれたチラシを子どもに配布。1口100円の会費を保護者に募り、担任が学校で徴収し、領収書を発行していた。
毎日新聞が入手した市教育会の2023年度決算報告書によると、収入2915万8161円のうち会費(2807万5750円)が大半を占め、会費の8割が保護者から集めたものだった。一方、支出の3分の1を市教育会事務局員(元学校長を含む3人)の給与に充てていた。
昨年9月には、河村たかし前市長(現衆院議員)が集金方法について「学校という閉鎖空間で行われ、事実上強制だ」と問題視し、市教委に調査を指示していた。
毎日新聞の取材に市教育会の担当者は「学校でチラシを配って会費を集める方法をやめるなど、存続の道を探ったが、会費が集まりにくくなった。運営は今後厳しくなり、2月の総会で解散を決定する方向で進めている」と語った。
市教育会は1881年に創設された名古屋区教育会が前身。全国組織の「大日本教育会」に属していたが、1946年に脱退して以降、市独自の教育助成団体として活動していた。
市教育会の解散の方針について広沢一郎市長は23日、報道陣の取材に応じ、「教員が集金しているのはオフィシャルな感じを保護者に与えていた可能性もあり、もう少し早くに(集金方法などを)あらためるべきだった」と話した。
名古屋大の中嶋哲彦名誉教授(教育行政学)は市教育会について「教育助成団体として活動する以上、本来その資金は子どもたちのために使うのが筋。しかし、教員の活動にも資金を配分していて、十分な説明ができていなかった」と指摘。その上で「惰性で存続してきた組織であり、解散は当然の流れではないか」と話す。【真貝恒平】