長野市のJR長野駅前で男女3人が刃物で襲われ、1人が死亡した事件から一夜明けた23日朝、現場に近い市立山王小学校では、警察官が警戒にあたる厳戒態勢の中、保護者らに付き添われた児童が登校した。容疑者が凶器を持ったまま逃走中とあり、緊迫した空気に包まれていた。
同校では午前7時半ごろから登校が始まり、保護者が車で子供を送り届ける光景も見られた。小6女児(12)と小2男児(8)を車で送り届けた女性は「こんなに身近なところで事件が起きるなんて。学校が長野駅から近いので、子どもたちは昨日の晩からすごく気にしていた。普段は歩いて通っているが、今日は車で一緒に来た。早く見つかってほしい」と不安そうに話した。
同校を卒業して現在は中学2年の女子生徒の保護者で、普段から登校の見守り活動をしている男性(54)は「この学校は普段は個別登校だが、今日は1人で来る子はいない。学校を休ませている親も多い。(容疑者が)どこに出てくるかわからないので、しばらく不安が続く」と厳しい表情だった。
市教育委員会は市内の小中学校76校について、23日は児童・生徒の安全を確保したうえで通常通りの登校とした。学校では教職員が登校の見守りをし、保護者に対しても可能な範囲で登校の付き添いを依頼した。不安に感じる場合は、登校をしなくても欠席扱いにしないことも通知した。状況に変化がない場合は24日以降も同様の対応をする方針という。
市教委によると、23日は事件への不安などから、市立の小中学校で計約2800人が欠席した。【高橋秀明】