長野市のJR長野駅前で男女3人が刃物を持った男性に襲われた事件で、事件に巻き込まれた3人は互いに無関係で、襲って来た男性とも面識がなく、無差別に狙われたとみられることが長野県警への取材で判明した。最初に襲われた男性は左胸などを刺され死亡した。県警は23日、殺人事件とみて長野中央署に捜査本部を設置。約220人態勢で逃げた男性の行方を追っている。
県警によると、事件は22日午後8時過ぎ、長野駅善光寺口バスロータリーで発生した。襲われた男女3人のうち、長野市丹波島3の会社員、丸山浩由さん(49)が心肺停止の状態で搬送され、死亡が確認された。他に男性会社員(37)が背中を刺されて重傷を負い、女性会社員(46)は背中を切られ、全治1週間のけが。負傷した2人は県警に、襲って来た男性とは「面識がない」と話したという。
男性は20~40代で、身長165~175センチのやせ形。頭に白い布のようなものを着け、眼鏡を着用していた。駅階段付近で丸山さんを刺し、そばのバス乗り場に移動。バス待ちをしていた2人を次々と襲い、刃物を持ったまま付近をうろついた後、徒歩で逃げたとみられる。刃物などの遺留品は見つかっていない。
地域住民の不安が高まっていることから、警察庁は近隣10都県の警察官約100人を派遣し、長野市内のパトロールなどを強化する。県警は、長野駅周辺の防犯カメラに映っていた男性の画像を公開。長野中央署に専用のフリーダイヤル(0120・007・285)を設置し、情報提供を呼び掛けている。【鈴木英世、木原真希、田中綾乃】