タレントの中居正広さん(52)が23日、芸能界を引退すると自身の有料会員サイトで発表した。
旧ジャニーズ事務所(SMILE―UP.=スマイルアップ)の性加害問題などを取材してきたジャーナリストの松谷創一郎さんは、ファンの心理的な負担や混乱を懸念する。
「SMAPはなぜ解散したのか」などの著書がある松谷さん。アイドルらを推すファンについて、「近年は自分の生活と密着し、ライフスタイルの中に組み込まれるようになった」と指摘する。
中居さんはファン向けのサイトで、「こんなお別れで、本当に、本当に、ごめんなさい。さようなら…」と記した。
ファンにとっては、引退という形で推しが突然消えた形になり、「失望や悲しさ、これまでの応援は何だったのか。こういった感情の持って行き場のない人が大量発生するだろう」と予測する。
これまで、推しの存在を「奪われたくない」と願うファンが、ネット上で自分の望む情報ばかり集め、根拠のない「陰謀論」を展開するケースもみられたという。
松谷さんは、中居さんのファンに向けて、こうアドバイスする。
「中居さんはトラブルの重みを受け止めて引退の決断に至っている。ファンにできることは、厳しい現実と静かに向き合うことだと思う」
韓国では、K―POPスターによる性加害が発覚。自らもファンの映画監督が、動揺するファンの心情をドキュメンタリー映画で描いた。こうした作品に触れ、自身の喪失感を誰かと共有したり、相対化したりすることが心の痛みの緩和につながる、とアドバイスする。
Xでは引退発表直後から、「中居くん」「SMAP」「芸能活動」「会員サイト」などの関連ワードがトレンドの上位を占めた。
「ショック」「またSMAPが見たかった」などと残念がる声の一方、「これで問題が幕引きになってはいけない」などと真相究明を求める声や、「週刊誌が1人のタレントを葬った」とし、一連の問題を先んじて報じた週刊誌の影響力に触れる投稿も目立った。【太田敦子】