全国唯一の特定危険指定暴力団「工藤会」(北九州市)によるとされる市民襲撃など6事件で、組織犯罪処罰法違反(組織的殺人未遂)などの罪に問われた、工藤会ナンバー3の理事長だった菊地敬吾被告(52)の控訴審判決で、福岡高裁は23日、無期懲役とした1審・福岡地裁判決(2023年1月)を支持し、被告側の控訴を棄却した。
菊地被告側は一部事件で無罪を主張したが、市川太志裁判長は全ての事件について、判決に影響を及ぼす事実誤認はないと判断した。被告側は判決を不服として上告する方針。
菊地被告は1審で全ての事件への関与を否定したが、控訴審では一転して①元福岡県警警部への銃撃(12年)②看護師刺傷(13年)③歯科医師刺傷(14年)――の3事件については関与を認めた。その上で、工藤会トップで総裁の野村悟被告(78)=1審で死刑、2審で無期懲役、上告中=の関与は否定した。
控訴審判決は①について「警察の徹底した捜査を招くなどの性質を持つのに、野村被告に事前に報告しないのは不自然で信用性に乏しい」と指摘するなど、①~③の全てで、野村被告を含めて共謀を認定。菊地被告が関与を否定した残る3事件については「菊地被告の指示や了解がなければ、事件の実行は著しく困難」などとした1審判決を追認した。