幅広いレパートリーを持ち、国内外で活躍する指揮者の秋山和慶さん(84)が23日、引退を発表した。
所属事務所によると、秋山さんは1日に東京都内の自宅で転倒し、首を強く打って神経を痛めたという。2日に緊急入院し、現在も手足に後遺症が残ったまま入院中。会話はできる状態だが、親族との話し合いの結果、今後の指揮活動は困難と判断し、引退を決めたという。1月上旬に東京交響楽団のニューイヤーコンサートに出演予定だったが、降板が発表されていた。
秋山さんは故斎藤秀雄に師事し、1963年に桐朋学園大を卒業。64年に東京交響楽団を指揮してデビューし、40年にわたって同団の音楽監督と常任指揮者を務めた。そのほかにバンクーバー交響楽団の音楽監督など国内外で要職を歴任。昨年、指揮者生活60周年を迎えた。【須藤唯哉】
親族のコメントは次の通り。
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秋山和慶は、元日に自宅で転倒し、C3ーC4頸椎(けいつい)間に重度の頸髄損傷を負いました。その結果、手足に後遺症が残っており現在も入院中のため、今後の指揮活動は困難と判断し引退を決意いたしました。
この重い決断は、意識がはっきりしている本人と家族によって十分に話し合われた結果決めたことです。皆様には大きな失望を与える事となります事を心からおわび申し上げますとともに、これまで60年間にわたり秋山和慶を支えてきてくださったすべての皆様に心より御礼申し上げます。
秋山和慶は、これから厳しいリハビリとの戦いになりますが、引き続き温かいご支援を頂戴できます事を願っております。