「私、中居正広は本日をもって芸能活動を引退いたします」――。女性とのトラブルが報道されてから1カ月あまり。アイドルグループ「SMAP」のメンバーとして国民的な人気を誇り、解散後も数々のテレビ番組で司会を務めてきた中居正広さん(52)が23日、37年間を過ごした芸能界から去ることを表明した。女性との間で一体何があったのか。真相を語らぬままの退場にファンも失望し、批判の声を上げた。
中居さんがいち早く引退を報告したのは、ファン向けの有料会員サイト「中居ヅラ あの子たちに…、」だった。ファンへ「少しでもお先に」との配慮を見せ、放送局やスポンサーなど関係者に対しても「たくさんの方々にご迷惑をおかけし、損失を被らせてしまったことに申し訳ない思いでなりません」などと謝罪した。だが、サイトでコメントを一方的に発表しただけ。長年、テレビで見せてきた多弁な姿とは裏腹に、記者会見などで自ら説明することはなかった。
「ヅラ」は中居さんのファンのこと。中居さんが自身のラジオ番組内でファンのふりをしている人たちを「中居ヅラ」と呼んだのを機に、ファンらが自ら名乗るようになったという。コメントではファンたちに「ヅラの皆さん」と呼びかけて「一度でも、/会いたかった/会えなかった/会わなきゃだめだった」と後悔をにじませる言葉も記し「さようなら…。」と別れを告げた。
中居さんは1987年、旧ジャニーズ事務所に入所。91年にアイドルグループ、SMAPのメンバーとしてCDデビューした。96年に始まったフジテレビ系のバラエティー「SMAP×SMAP」は人気番組に成長。2003年に発売されたSMAPの「世界に一つだけの花」は300万枚超の大ヒットになるなど、国民的スターの地位を確立した。16年にSMAPが解散し、中居さんは20年に旧ジャニーズ事務所を退所。その後も、テレビやラジオ番組の司会を務めるなど芸能界の第一線で活躍を続けた。
しかし、24年12月中旬に女性とのトラブルが報じられて以降、中居さんを取り巻く環境は大きく変わった。12月27日には有料会員サイトを更新して「この度は、大変ご迷惑をおかけしております。申し訳ございません」と謝罪し、「今向き合わなければならないことを真摯(しんし)に、懸命に取り組んでおります」などと記したが、女性とのトラブルについて言及をしなかった。
年明けの1月9日になって公式ホームページ上で「トラブルがあったことは事実」と認めて女性らに謝罪。「双方の代理人を通じて示談が成立し、解決している」と説明した上で「相手さまのご提案に真摯に向き合い、対応してきたつもりです。示談が成立したことにより、今後の芸能活動についても支障なく続けられることになりました」と見解を示していた。
しかし、テレビ各局などが、中居さんが出演する番組の打ち切りや降板を立て続けに発表し、最後は追い込まれるような形で芸能生活に終止符を打った。
中居さんの引退発表を受け、SMAPの元メンバー、稲垣吾郎さん(51)、草彅剛さん(50)、香取慎吾さん(47)は所属事務所を通じ、連名で「突然のことでまだ心の整理がついておらず、言葉が見つかりません。現在お話さしあげることは控えさせていただければと思います。ご理解いただきたくお願い申し上げます」とのコメントを発表した。【西本龍太朗、平本絢子】
中居正広さんの略歴
1987年 旧ジャニーズ事務所に入所
88年 木村拓哉さんら5人とアイドルグループ「SMAP」結成
91年 SMAPがデビュー曲「Can’t Stop‼―Loving―」リリース
96年 フジテレビ系バラエティー番組「SMAP×SMAP」開始
97年 「NHK紅白歌合戦」で初司会
2003年 SMAP「世界に一つだけの花」大ヒット
08年 映画「私は貝になりたい」で日刊スポーツ映画大賞主演男優賞
16年 「SMAP×SMAP」最終回。SMAP解散
20年 旧ジャニーズ事務所を退所、個人事務所「のんびりなかい」設立
24年12月 週刊誌が女性トラブルを報道
25年1月9日 ホームページ上にトラブルを認める謝罪コメント
23日 ホームページ上で芸能界引退を発表