熊本県は24日、新型コロナ禍の旅行支援を目的とした県の事業で、宿泊施設側による架空請求などの不正利用があったと発表した。不正や不適切な利用は計571万円に上り、2024年10月末までに全額返還されたという。
旅行支援割事業は、国の交付金を元に各県で実施。熊本県は、他県での不正利用を受けて2023年11月から調査していた。
阿蘇市内の宿泊施設では、宿泊実績がないにも関わらず宿泊したと見せかけ、宿泊費割引分と現地の飲食店などで利用できる電子クーポン、計約252万円分を不正に受給していた。経営者が私的な買い物に利用していたとして、県は「悪質性が高い」としたが、既に全額返還されたことなどを理由に施設名は非公表とした。
そのほか、本来は禁止されている電子クーポンを現金と引き換えて客に渡し、宿泊施設側がクーポンを利用していたとして、9軒で計約320万円分の利用があった。
県観光振興課の脇俊也政策審議監は「不正が起こらない制度設計の仕組み作りや、周知の徹底に努めていきたい」と述べた。【山口桂子】