2022年度に東大阪市内の小学校に通う当時6年生の児童がいじめを受けて不登校になった問題で、市の第三者委員会は24日、調査報告書を野田義和市長に手渡した。これまでの学校主体による調査で認定されたいじめは1件だけだったが第三者委は新たに3件を認定、計4件に増えた。さらに不登校の初期段階に学校が児童側とのやり取りの記録を残していなかったなどの問題点を指摘した。
報告書などによると、児童は滑舌を他の児童にからかわれるなどで、22年5月から不登校になった。保護者の相談を受けて、同8月に市教委は調査することを決めた。同12月に公表した学校主体の調査で、他の児童から「ちゃんとしゃべれ」と言われた事案のみをいじめと認定していた。
これに対し、児童の保護者は市に再調査を求め、臨床心理士ら4人でつくる市の第三者委は23年2月から25回、会合を開き報告書をまとめた。
この日、調査委員長の山口崇弁護士は「小学5年生ごろからさまざまな遊びの中で、いろいろな悪口を言われたり、心が傷付くような言葉がけがあったりしたと考えられる」と述べ、いじめの認定件数が計4件になったと説明。背景に学校側にいじめや人権への理解が十分ではなく、児童側に寄り添った対応も不十分だったとした。
報告書を受け取った野田市長は「今後こういった事案が起こらないように、最善の努力をしていく」と述べた。【新宮達】