防衛省が自衛隊員らの処分を公表する際、性別を特定しない運用を今月から始めたことについて、中谷元・防衛相は24日、閣議後の記者会見で「性的指向、性自認に関する社会的動向など、さまざまな要素を総合的に勘案した」と理由を述べた。国民への説明責任を果たせるのか疑問視する指摘に対しては「今後とも必要に応じて不断に検討し、適切に対応してまいりたい」と答えるにとどめた。
防衛省はこれまで、処分対象者の性別を広報文に記載せず、個人の特定につながらない範囲で問い合わせに回答する運用をしていた。中谷氏は「基準上は公表すべき内容に含まれていなかった。省として一貫した対応をとるため、性別については原則、公表内容に含まないこととした」と説明。個人の特定を防ぐことも非公表の理由に挙げた。
一方、防衛省の内部通知は大臣への文書報告に性別を記載するよう定めており、性別が必要なのかを問われると「今回、非公表と決めたわけで、書式については今後検討したい」とした。
海上自衛隊によると、佐世保地方警務隊が24日、大村航空基地隊(長崎県)所属の海士長、藤本太智容疑者(21)を不同意わいせつ容疑で書類送検した。
海自は氏名を公表した理由を「事案ごとに悪質性などを総合的に判断している」と説明。性別については「多様な価値観や考えに配慮し差し控える」とした。
書類送検容疑は2024年11月、同基地の施設内で、隊員の尻や胸を着衣の上から手で触ったとしている。海自は「被害者保護」を理由に、被害者の隊員の性別や所属先、藤本容疑者との関係性などを明らかにしなかった。【松浦吉剛】