特殊詐欺被害から65歳以上の高齢者を守るため、大阪府は27日、ATM(現金自動受払機)の操作中に携帯電話の通話を禁止するなどとした条例改正案の詳細をまとめた。2月の定例府議会に提出し8月の施行を目指す。
府庁で開いた幹部会議で明らかにした。改正案は昨年の審議会の答申を踏まえ、携帯電話で通話しながらのATMの操作禁止▽不自然な入出金に対する金融機関の警察への通報▽ATMの振り込み上限額の設定▽プリペイド型電子マネーの販売確認――などを盛り込んだ。罰則規定はないものの、条文で禁止や義務化まで踏み込むケースは全国初という。
ATMの振り込み上限額は1日10万円に設定。過去3年間でATMの振り込みをしていない70歳以上を対象に限度額を引き下げる。また、プリペイド型電子マネーの購入は年齢確認が困難なことを踏まえ、年齢制限を設けず、合計5万円以上の会計を対象に、店舗側と購入者双方が詐欺被害の可能性の有無をチェックシートで確認するよう義務づける。
施行時期は上限設定の引き下げを10月1日とし、それ以外は8月1日を予定する。吉村洋文知事は「現役時代に一生懸命ためた老後の資金をだましとるのは許せない。一歩踏み込んだ条例になるが、理解を求めながら進めていきたい」と述べた。【東久保逸夫】