奥日光地域へのアクセスを強化するため、自動車に頼らず、ロープウエーなど環境に配慮した新たな公共交通システムの導入に取り組む検討会の初会合が27日、栃木県庁で開かれた。
県交通政策課の石崎浩課長を座長に県、日光市、東武鉄道の交通、環境、観光、地域振興など実務者14人で構成。石崎課長は「奥日光地域を持続可能な地域にしていくためには、地域に優しいモビリティーを新たに導入し、人やものの流れを円滑化することが重要」とあいさつした。
新モビリティーの導入区間については決まっていないが、現段階では、いろは坂のスタート周辺から、終点の東武バスのロータリー付近としている。
観光シーズンの交通渋滞や、いろは坂の日々の移動負担のほか、物流や公共交通の運転手不足の状況など、人流・物流の状況を把握する基礎調査を新年度早期に実施。カーボンニュートラルの実現も踏まえ、どういうモビリティーが地域の課題解決に役立つかを検討する。県によると、調査状況も踏まえ、国や地元関係者も含めた議論に拡大し、実現に向けた検討や調整をすすめるという。
新モビリティーの運行は東武鉄道に決定したわけではない。ただ東武日光駅や奥日光のバス路線、中禅寺湖の遊覧船などに東武グループが関わっており、県は「東武鉄道抜きに検討はできない」としている。
日光地域の魅力づくりについて県は数年前から、日光市と東武鉄道をオブザーバーに勉強会を開催してきたが、昨年秋の知事選で福田富一知事が新モビリティーの導入を公約。知事は検討会を立ち上げ新年度予算に調査費を計上することを明らかにしていた。【有田浩子】